ねぇ、私は玲ちゃんが生まれてきて、よかったと思ってるの 家事の負担も減ったし、ほら、きーちゃんはそういうの苦手でしょう 私も勉強が忙しくなってきたし、お父さんはあまり家にいないでしょう それに、ずっと弟が欲しかったの あぁ、もちろん、きーちゃんも大事よ ねぇ、ほんとによかったと思ってるわ ほんとよ ++++++++++ (かな姉のことは、好きだ) (優しくて、綺麗で、堂々としてて大人で) (……ちょっとたまに怖いけど) (それでも、綺麗な人だから) (汚れてない人だから) (優しい人だから) ++++++++++ ねぇ、玲ちゃん、何を泣いてるの? どうしたの? ほら、ハンカチ いいから使って 汚れるのを気にしてるの? お洗濯すれば大丈夫よ、ほら、可愛い顔が台無し ++++++++++ (汚れちゃ、だめだ) (汚しちゃ、だめだ) (それは、嫌だ) ++++++++++ あらあら、逃げないの 玲ちゃん、おいでなさい どうしたらいいものかしら 私が、ピアノ弾いてあげましょうか なにがいい? ……わかった。もう何もしないから、そこに座ってなさい それだけでいいから 玲ちゃんは、そこにいるだけで、いいのよ そこにいるだけで、いいのよ ++++++++++ (三拍子。たんたんたん、たんたんたん。) (ジムノペティだ) 第三番は、『遅く荘重に』。 (目も、頭のてっぺんでむすんだ髪も、きらきらしてる) (この人は全部がきらきらしてる) (俺も同じ色なのに、なんか違う) (何が違うんだろ) (俺は、あんなに綺麗じゃない) (何でだろ) ++++++++++ ねぇ、ねぇ、私は玲ちゃんが生まれてきて、よかったと思ってるの ほんとよ そこにいるだけで、いいのよ いるだけで、いいの 玲ちゃん、 私は、玲ちゃんが好きよ きーちゃんやお父さんと同じくらい お母さんと同じくらい 好きよ ++++++++++ (優しくこっちに向けられた顔は) 荘重に (俺の目に焼きつけられる) (いつもそうだ) (この人の表情はいつも優しくて) (俺も笑えば) (綺麗になれるかな) ++++++++++ そうそう、そうやって笑っていなさい そうしていてね、玲ちゃん そうして、ここにいてね 好きよ、玲ちゃん だから、ここにいてね お願い
要と玲司、幼少時代。 多分玲司がなにかくだらないことを言ってぐずっているのを 要がなだめてるんだろう。 玲司にとって要は別世界の人間。 要はそれがはがゆくてしょうがない。 なんちゃって三部作三つめ。 全部勢いで書いてましたごめん。 |
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